保育の2025年問題とは?背景・影響・解決策をわかりやすく解説

2025年、日本社会は「少子高齢化」と「働き手不足」という二重の課題に直面します。医療や介護分野で注目される「2025年問題」ですが、実は保育業界にも大きな影響を与えることをご存じでしょうか。
待機児童の解消が進む一方で、今度は定員割れ・園の閉鎖リスク・保育士不足という新たな課題が迫っています。保護者にとっては園の選択肢が狭まり、保育士にとっては働き方やキャリア戦略を見直す時代に入ります。
本記事では、保育の2025年問題の背景・具体的な影響・国や自治体の対策・園や保護者ができる準備をわかりやすく解説します。変化の時代をどう乗り越え、むしろチャンスに変えていけるのか、ぜひ参考にしてください。
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保育の2025年問題とは?

2025年、日本では総人口の約2割が75歳以上となり、社会全体で「2025年問題」と呼ばれる大きな転換期を迎えます。これは医療や介護の分野でよく取り上げられますが、保育業界にも深刻な影響を及ぼすのが特徴です。
特に注目すべきは、少子高齢化の進行に伴う児童数の減少です。厚生労働省の推計では、0〜5歳児人口は2025年をピークに減少に転じるとされています。これまで「待機児童対策」として保育園を増やす政策が続けられてきましたが、今後は逆に「子どもより施設の方が多い」という状況が発生する見込みです。
この結果、保育需要は二極化します。都市部では引き続き共働き家庭や核家族化の影響で利用希望者が集中し、依然として保育枠が不足する地域が出てきます。一方で地方では園児数の減少により定員割れが常態化し、経営難から閉園を余儀なくされる保育園も増えると予測されます。つまり「園が足りない地域」と「園が余る地域」が同時に存在するのです。
さらに、女性の就労率の上昇も大きなポイントです。政府の施策により女性の社会進出は進み、2025年には就労率が8割を超えると見込まれています。そのため一定の保育需要は維持される一方、地域や園の規模ごとに需要の偏りが顕在化する可能性があります。
結論として、保育の2025年問題とは「待機児童解消の先に生まれる定員割れや閉園リスク、さらに保育士不足が深刻化する新しい段階の課題」を指します。これまでとは逆方向の問題に備えるために、国や自治体、園経営者、保育士、そして保護者それぞれの立場で対応を考えることが求められているのです。
保育の2025年問題がもたらす影響
2025年問題は、単に園児数の減少にとどまりません。園の経営・保育士の人材確保・保護者の子育て環境に連鎖的な影響を及ぼします。ここでは3つの視点から具体的に見ていきましょう。
待機児童ゼロ後の新たな課題

一時期は社会問題化していた待機児童ですが、2025年には全国で2,254人まで減少し「待機児童ゼロ」が現実味を帯びています。しかしその裏では、定員割れや閉園リスクが急速に広がっています。
特に人口減少が著しい地方では園児数そのものが減少し、施設維持が困難なケースが増加。結果として「園はあるが子どもが集まらない」状態が常態化しつつあります。一方、都市部では依然として需要が高く、都市と地方の二極化が顕著になっています。自治体の施策や財政力の差が園の存続に直結し、保護者にとっては地域格差という新しい課題が生じているのです。
保育士不足の深刻化
保育士不足は2025年問題を語るうえで避けられないテーマです。国は処遇改善等加算や臨時特例で賃金引き上げや手当を行ってきましたが、採用難や退職者増加の根本的な解決には至っていません。
特に小規模園では人員配置に余裕がなく、休暇取得やシフト調整が難しいため、保育士一人ひとりの負担が大きくなりがちです。その結果、燃え尽きや離職が発生し、ますます採用が難しくなるという悪循環に陥っています。
つまり今後は「園児数は減少しているのに、保育士も減る」という二重の問題が進行する可能性が高いのです。これは保育の質を維持するうえで非常に深刻なリスクと言えるでしょう。
保護者への影響
こうした状況は、保護者の子育て環境にも直接的な影響を与えます。園の閉鎖や統廃合が進むと、通園できる園の選択肢が減少します。特に地方では、最寄りに保育園が存在しない「保育空白地域」が生まれる懸念すらあります。
また、保育士不足が進めば、サービスの質の低下が避けられません。安全管理や子ども一人ひとりへの関わりが不十分になれば、保護者の安心感も損なわれてしまいます。これからは「預けられる園があるかどうか」という量的な安心だけでなく、「質の高い保育が受けられるか」という質的な安心が求められる時代に突入しているのです。
国・自治体が進める対策

2025年問題に直面する保育業界において、国や自治体はさまざまな対策を打ち出しています。ここでは、注目すべき3つの柱を解説します。
こども誰でも通園制度(2026年本格実施)
2025年に法制化され、2026年度から全国で本格実施されるのが「こども誰でも通園制度」です。これは、保護者の就労要件に関係なく、0歳6か月〜満3歳未満の未就園児が一定時間、保育園や認定こども園を利用できる仕組みです。
これまでの保育政策は「待機児童対策」が中心でしたが、この制度はすべての子どもの健やかな育ちを支援する方向への大きな転換点となります。特に家庭で育っている子どもも集団生活を体験できるため、社会性や発達支援の観点からも大きなメリットが期待されます。
一方で、利用希望者が急増することで現場の負担が増える可能性もあり、制度の運用と人材確保の両立が課題となるでしょう。
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保育士確保策
保育士不足の解消に向けて、国と自治体は潜在保育士の復職支援を強化しています。再就職支援センターの設置や、ブランクのある人が安心して復帰できる研修制度の拡充などが進められています。
また、ICTの導入による業務負担軽減も重要な対策です。午睡チェックをセンサーで自動化したり、連絡帳や記録業務を電子化したりすることで、保育士が子どもと向き合う時間を増やせるよう工夫が広がっています。
さらに、処遇改善等加算の拡充による給与アップやキャリアパスの整備も並行して進められており、「働き続けられる環境づくり」が鍵となっています。
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園経営支援策
園の存続を支えるために、国は公定価格(保育にかかる国の基準費用)の見直しを行っています。加えて、小規模園や幼稚園・保育園の認定こども園への統合促進が進められ、地域全体で安定的に子育てを支援できる体制を整える狙いがあります。
これにより、地域によっては園の再編や統合が加速する見込みです。短期的には変化への不安もありますが、長期的には地域格差を是正し、持続可能な園経営を実現する仕組みとして期待されています。
保育園・保育士・保護者ができる準備

2025年問題は避けられない社会的変化ですが、園経営者・保育士・保護者がそれぞれ主体的に備えることで、むしろチャンスに変えることができます。ここでは3つの立場ごとに求められる準備を整理します。
園経営者が取るべき対応
これからは「選ばれる園」になることが経営の生命線です。園児数の減少に直面する中で、特色ある取り組みや強みを明確に打ち出さなければ存続が難しくなります。
具体策としては、企業主導型保育や学童事業との経営多角化で安定した収益基盤を築くこと、さらにSNSや採用広報を活用したブランディング強化が欠かせません。園の理念や日常の様子を積極的に発信することで、保護者からの信頼を高められます。
また、ICT導入による効率化も重要です。連絡帳や午睡チェックのデジタル化などを進めることで、保育士が子どもと向き合う時間を増やし、質の高い保育を実現できます。これらを早期に進めることが、長期的な信頼獲得につながるのです。
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保育士ができるキャリア戦略
園の数が減少するなか、保育士自身も働き方を柔軟に見直す必要があります。まず注目したいのが幼保特例制度の活用です。幼稚園教諭免許を追加取得することで、認定こども園など幅広い現場で活躍できるようになります。
また、学童保育や福祉分野との連携といったキャリアの横展開も有効です。子どもや家庭を支える仕事は保育園だけではなく、地域全体に広がっているからです。
さらに、ライフステージに応じて短時間勤務や在宅支援の活用を検討すれば、無理なく長く働き続けることができます。こうしたキャリア戦略を描くことで、変化の時代でも安定した働き方を実現できるでしょう。
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保護者が意識すべきこと
保護者も「園を選ぶ目」を持つことがこれまで以上に大切になります。園児減少の中でも信頼できる園を見極めるには、経営の安定性・職員の定着率・ICTや安全管理体制といった要素を確認することが欠かせません。
また、自治体の統廃合方針や地域の子育て支援の流れを早めに情報収集しておくことも重要です。保護者自身が積極的に動くことで、安心して子どもを託せる環境を選び取れるようになります。
保育の2025年問題をチャンスに変えるには
2025年問題というと「園児数の減少」「定員割れ」「保育士不足」といったネガティブな側面ばかりが注目されがちです。しかし、見方を変えれば、これは保育の質を高め、社会における保育の役割を再定義するチャンスともいえます。
ICT導入による業務効率化
まず重要なのが、ICTを活用した業務効率化です。午睡チェックや登降園管理、連絡帳の電子化などを導入すれば、煩雑な事務作業を大幅に減らすことができます。その結果、保育士は子どもと向き合う時間を増やし、より丁寧な関わりが可能になります。単に「人手不足を補う仕組み」ではなく、保育の質を底上げするツールとしての活用が期待されます。
多様な人材の活用
次に、シニア保育士・男性保育士・外国人材の積極的な登用も欠かせません。子育て経験を持つシニア層は安心感を与え、男性保育士はジェンダーバランスを整え、外国人材はグローバルな価値観を子どもたちに伝える力になります。
これまで「女性中心」「若手中心」になりがちだった保育現場に、多様なバックグラウンドを持つ人材が関わることで、子どもたちの成長環境が豊かになるだけでなく、職場の風通しや保育の幅も広がります。
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地域共生型モデルの推進
さらに注目されているのが、地域共生型モデルです。保育園を単なる「子どもを預かる場」から、地域の子育て支援拠点へと進化させる取り組みです。園庭開放や子育て相談、世代間交流の場を設けることで、地域全体が子育てに関わる仕組みを作れます。
こうした活動は、人口減少が進む地域においても「園を残す意味」を明確にし、保護者や住民からの支持を得やすくします。結果的に園の存続にもつながり、地域の子育てインフラとしての役割強化に直結します。
よくある質問(FAQ)
次の一歩を踏み出すために

保育の2025年問題は「園児減少」「保育士不足」「園経営の不安定化」といった課題を抱えながらも、ICTや多様な人材活用によってチャンスに変えられる可能性があります。
最新の制度解説や園経営のヒント、保育士のキャリアアップ情報を知りたい方は、ぜひ ほいくのイロハ をご覧ください。
現場で役立つ情報を定期的に発信し、園経営者・保育士・保護者の皆さまをサポートしています。
まとめ:保育の2025年問題にどう向き合うか
「2025年問題」とは、単に園児数の減少や施設の定員割れにとどまらず、園経営の不安定化・保育士不足・保護者の選択肢減少といった複合的な課題を引き起こす現象です。これまでの「待機児童問題」とは逆方向の課題であり、これからの保育を考えるうえで避けて通れないテーマとなっています。
しかし同時に、これは保育の質を高める転換期でもあります。ICTを取り入れて業務を効率化すれば、保育士は子どもと向き合う時間を増やせます。シニア保育士や男性保育士、外国人材といった多様な人材を活用すれば、現場に新しい視点や安心感が生まれます。さらに、園を地域共生の拠点と位置づけることで、子育て家庭だけでなく地域全体が支え合う仕組みを作ることも可能です。
園にとっては「選ばれる園」になるためのブランディングや経営多角化、保育士にとっては「選ばれる人材」になるための資格取得やキャリア戦略、そして保護者にとっては「安心できる園を選び取る目」を持つことが求められています。
つまり2025年問題は、単なるリスクではなく、園・保育士・保護者がそれぞれ成長のチャンスを掴むタイミングとも言えるのです。
私たち一人ひとりが早めに準備し、未来を見据えた行動を起こすことで、子どもたちが安心して育つ環境を守ることができます。
今こそ、「選ばれる園」「選ばれる人材」になるための一歩を踏み出す時です。
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