【保育士の給料は安い?】平均年収・他職種との比較・収入を上げる方法を徹底解説

「保育士の給料って本当に安いの?」「頑張って働いているのに手取りが少ない…」そんな悩みを抱えていませんか?
保育士の給与に対しては、世間的にも「低い」というイメージが根強くありますが、実際のデータを見るとその実情はより複雑です。
この記事では、保育士の平均給料や他職種との比較、給料が安い理由を解説したうえで、給料を上げるための具体的な方法まで紹介します。
この記事で分かること
- 保育士の平均給料と他職種との違い
- 給料が低くなりやすい背景とその構造
- 保育士が収入を上げるための5つの方法
- キャリアアップや転職による年収アップ戦略
保育士の平均給料は本当に安い?
「保育士は給料が安い」というイメージは、ただの噂ではありません。
実際の統計データをもとに、他職種との比較からその実態を見ていきましょう。
保育士と全職種の平均年収比較
| 職種 | 平均月収 | 平均年収 |
|---|---|---|
| 保育士 | 約26.7万円 | 約391万円 |
| 全職種平均 | 約34.0万円 | 約497万円 |
※出典:厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査」
こうして比較すると、保育士の給与水準が全体平均よりも大きく下回っていることが一目瞭然です。
特に、同じ福祉・教育分野の職種と比べても、その差は無視できません。
【年齢別】保育士の平均給料・年収
| 年齢層 | 平均月収 | 平均年収 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 約23.0万円 | 約323万円 |
| 25〜29歳 | 約24.8万円 | 約366万円 |
| 30〜34歳 | 約25.9万円 | 約377万円 |
| 35〜39歳 | 約27.1万円 | 約401万円 |
| 40〜44歳 | 約29.8万円 | 約444万円 |
| 45〜49歳 | 約28.1万円 | 約426万円 |
| 50〜54歳 | 約28.8万円 | 約426万円 |
| 55〜59歳 | 約28.9万円 | 約418万円 |
※出典:厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査」
40代以降で年収が上がりやすい傾向があるものの、年齢が上がっても伸び幅は限定的。
経験や責任が増しても、それが十分に給与に反映されない現状があります。
【役職別】保育士の平均月収(賞与込み)
| 役職 | 平均月収(賞与含む) |
|---|---|
| 施設長 | 約63.3万円 |
| 主任保育士 | 約56.2万円 |
| 保育士(無役職) | 約30.3万円 |
| 保育補助(資格なし) | 約14.9万円 |
※出典:公立保育所の常勤保育士の給与(内閣府「令和元年度 経営実態調査」)
役職に就くと月収が倍以上になるケースもあり、キャリアアップが給与面に直結していることがわかります。
【勤務形態別】保育士の給料
| 勤務形態 | 月収または時給 | 年収の目安 |
|---|---|---|
| 正社員 | 約26.7万円 | 約391万円 |
| パート・非常勤 | 約1,282円/時給 | 勤務状況により変動(150万前後〜) |
※出典:厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査」
パート保育士は働く時間が限られるため、年収は正社員の半分以下となることも。
扶養内で働く主婦層や短時間勤務者が多いのが特徴です。
給料が安い理由は?制度と歴史的背景に注目
保育士の給料が安い理由は、単に「経営者の問題」ではなく、国の制度設計や歴史的な価値観が深く関係しています。
以下の5つの構造的な要因を通して、保育士の給与がなぜ上がりにくいのかを見ていきましょう。
1. 公的価格制度により給与に上限がある
保育士の給料は、一般企業のように「業績連動」ではなく、国や自治体が定めた『公定価格(公的単価)』によって決まっています。
この公定価格は「1人の園児に対して、いくらの運営費を国が補助するか」という制度であり、この中に保育士の人件費も含まれているのです。
- 保育園が多くの収入を得るには園児を増やすしかない
- しかし保育士1人あたりの受け持ち人数には法的な配置基準がある
- よって、給料に反映できる原資自体が増えにくい構造
つまり、どれだけ努力しても園全体の収入が急増することはなく、昇給の余地も限られるというのが現状です。
2. 運営費の構造が「固定収入+低い裁量」になっている
保育園の収入源は主に次の2つです。
- 国や自治体からの補助金(=公定価格)
- 保護者が支払う保育料(=定額で上限あり)
これらはすべて、行政により決められた額であり、園の裁量で自由に引き上げられるものではありません。
そのため、以下のような構造的な問題が生じます。
- 電気代・物価が上がっても保育料や補助金はすぐに上がらない
- 人件費に余剰が出にくく、現場の保育士の給料が圧迫される
結果として、保育士の給料には昇給の余地も、賞与や待遇面の手厚さも限界があるという問題に直結しているのです。
3. 非正規雇用の割合が多く、待遇に差がある
保育士の現場では、パート・契約社員・派遣社員など非正規職員の割合が非常に高いのが実態です。とくに私立保育園では、限られた予算で多くの職員を確保するために、非正規雇用が広く採用されています。
非正規職員の課題は以下の通りです。
- 時給換算のため働いた分しか収入にならない
- ボーナス・退職金・昇給などがない、またはごく少額
- 福利厚生や研修制度の対象外になることも多い
そのため、同じように子どもを預かって働いていても、正社員と比べて大きく収入に差が出るケースが少なくありません。
4. 「子守り感覚」という社会的誤解と評価の低さ
保育士の仕事は本来、子どもの発達・安全・健康・人間形成に関わる専門性の高い職業です。
しかし、未だに「資格があれば誰でもできる」「家庭の延長」「女性のやる仕事」という偏見や誤解が根強く残っています。
このような評価の低さが給与にも反映されており、
- 「福祉職=薄給でも仕方ない」という考え
- 「子どもが好きだからやっている」という“やりがい搾取”の構造
が半ば当たり前のように存在しています。
保育士は国家資格を要する専門職であるにもかかわらず、職能に見合う対価が支払われにくい環境に置かれているのです。
5. 地域格差による大きな収入の違い
保育士の年収は、働く都道府県によって大きく異なります。
- 東京都:年収 約451万円
- 長野県:年収 約315万円
※厚生労働省「jobtag」より
その差はなんと約130万円以上にのぼるケースもあります。
この地域格差の原因は、
- 地方自治体による補助金の差
- 保育士不足の深刻度による待遇の差別化
- 地価・家賃水準などの生活コストに合わせた給与設定
などが挙げられます。
つまり、同じ仕事内容でも勤務地によって収入が大きく変動するという非効率さが存在しており、これも保育士の収入安定を妨げる要因のひとつです。
給料アップの兆しも?保育士処遇改善の動き
保育士の給与水準が長らく低迷している中、国は保育人材の確保と定着を目的に、処遇改善に関する施策を段階的に導入しています。近年では「処遇改善臨時特例事業」や「キャリアアップ手当」などが拡充され、給与水準の底上げが少しずつ進んでいます。
制度設計の背景には“人材不足の深刻化”がある
慢性的な保育士不足が全国的に問題となっている今、「給料が低いから辞める・戻ってこない」という声を受け、政府も本腰を入れて対応し始めました。特に令和4年(2022年)には、以下のような制度的なテコ入れが行われました。
実際に受けられる処遇改善策の中身
■ 処遇改善臨時特例事業(令和4年2月~)
- 全ての保育士等を対象に、月額9,000円の給与アップ
- 施設側が対象要件を満たして申請・実施した場合に国と自治体が補助
- ※令和4年10月以降も「処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ」として恒久化
★今後も「ベースアップ等支援加算」のような恒常的な加算措置が整備される可能性が高いとされています。
■ キャリアアップ手当(キャリアアップ研修制度と連動)
- 各自治体が定める研修を修了し、専門リーダー・副主任・職務分野別リーダー等の役職に就任することで手当が上乗せ
- 月5,000円〜40,000円までの手当支給
- 職務経験年数や研修受講の有無が条件となるため、計画的なキャリア形成がカギ
これにより「役職につかないと給料が上がらない」という壁を越え、中堅層の処遇改善が現実的になっています。
■ 宿舎借り上げ制度(月額家賃補助)
- 最大月82,000円まで家賃補助を受けられる自治体も
- 対象は原則として「採用から7年以内」の保育士
- 多くは自治体・園が物件を契約し、保育士は自己負担1〜2割程度で入居可能
「実質的な収入増」に直結する制度で、都市部で一人暮らしの保育士にとって特に有利です。
■ その他:独自の補助制度や処遇改善策も拡大中
- 私立園での独自の住宅手当・扶養手当
- 地域によっては独自の「定着支援金」や「奨学金返済支援」もあり
- 厚労省主導でのICT導入・業務軽減支援も進行中
制度は整いつつあるが、すべての園で活用されているわけではない
こうした処遇改善施策は、「導入・運用できる園」と「そうでない園」で差が出る」という課題も抱えています。施設ごとに制度導入の温度差があり、手当の支給対象にならない保育士も少なくありません。
そのため、処遇改善制度を十分に活用している園を見極めることが、今後の給与向上に直結します。
キャリアアップ研修制度で収入増が見込める
保育士の給与改善に向けた厚生労働省の主要な取り組みのひとつが、「キャリアアップ研修制度」です。
この制度は、保育士の専門性向上と職責に応じた処遇改善を目的として、平成29年度から全国で導入されました。
研修を受講し、一定の条件を満たすことで、以下のような新たな役職に就き、毎月の給与に手当が上乗せされます。
■ 役職と加算額の例(※一部自治体による)
| 役職名 | 手当の目安(月額) |
|---|---|
| 副主任保育士 | +40,000円 |
| 職務分野別リーダー | +5,000円 |
| 専門リーダー | +10,000〜30,000円 |
これらの役職は、従来の「園長」「主任保育士」とは異なり、現場でリーダーシップを発揮する中堅〜若手保育士を対象にした制度です。
つまり、主任や園長にならなくても処遇改善が可能になったという点で、働く保育士にとって大きなメリットがあります。
役職に就くには、
- 一定の勤務年数(概ね3年以上)
- 所定のキャリアアップ研修の修了
- 園からの推薦や職責の明確化 などが必要です。
これにより「経験を積めば誰でも昇給の道が見える」構造が生まれ、給与とやりがいの両立が実現しやすくなったと評価されています。
保育士が給料を上げる5つの方法
「保育士=給料が低い」は現実ですが、工夫次第で収入を上げることは十分可能です。以下の5つの方法を押さえておくと、キャリア形成と収入アップの両立が見えてきます。
1. 資格取得でスキル手当を獲得する
保育士資格だけでなく、以下のような関連資格を取得することで手当や評価が上乗せされる園も増えています。
- 幼稚園教諭免許(+資格手当あり)
- チャイルドマインダー(小規模園や家庭的保育で需要)
- 保育心理士・発達障害支援アドバイザー
- 食育インストラクター、ベビーマッサージ資格 など
✅ 資格を持つことで専門性が認められ、転職市場でも有利になります。
2. 正社員として働くことで安定した収入を得る
パートや非常勤のままだと、時給制・賞与なし・昇給なしという壁があります。
一方で正社員になると月収・年収ともに大幅にアップし、各種手当や福利厚生も充実します。
- 月収:時給換算よりも平均で5万〜10万円ほど高い
- 年収:正社員は賞与ありで300万〜400万円台が一般的
- 福利厚生:住宅手当・通勤手当・研修費補助などが対象に
✅ ライフステージの変化に備えるためにも、長期的に正社員雇用は有利です。
3. 役職に就いてキャリアアップ加算を得る
「キャリアアップ研修制度」を活用し、園内でのリーダー職・副主任・主任などに就くことで、毎月の給与に最大4万円以上の手当が追加されます。
- 副主任保育士:+40,000円
- 職務分野別リーダー:+5,000円
- 専門リーダー:+10,000〜30,000円
研修を受講し、一定の勤務年数を経て昇格すれば、経験年数に応じて確実に収入が増える仕組みとなっています。
✅ 責任は増えますが、その分収入も安定しやすく、将来のキャリア設計にもつながります。
4. 公立保育園で「公務員保育士」を目指す
自治体が運営する公立保育園に就職すれば、地方公務員として勤務することになります。給与表が明確に定められており、年功序列型の安定昇給と手厚い福利厚生が魅力です。
- 初任給:約20万円台後半(賞与年2回+昇給あり)
- 平均年収:約450万円〜500万円
- 退職金・有給・産育休なども充実
ただし、倍率は高めで自治体ごとに採用試験があるため、早めの対策が重要です。
✅ 安定志向の方には、最も堅実で待遇も良い選択肢といえるでしょう。
5. 待遇の良い保育園に転職する
今の園で「昇給制度がない」「役職の空きがない」「住宅手当が出ない」などの場合は、より条件の良い保育園へ転職するのが現実的な選択肢です。
- 年収400万円以上の求人も多数存在
- 「宿舎借り上げ制度あり」「キャリアアップ加算導入」など条件付き求人が探しやすい
- 保育士専門の転職サイトなら、非公開求人や福利厚生の詳細情報も確認できる
✅ 「条件で選ぶ」ことは、自分の人生を守ること。遠慮せず待遇に目を向けましょう。
まとめ|保育士の給料は上がる。諦めずに選択を
保育士の給料は他職種と比較すると確かに低水準ですが、近年は国の処遇改善・キャリアアップ制度によって少しずつ改善が見られています。
給与アップのポイントは以下の通りです。
- 正社員を目指す
- 資格や役職を取得する
- 公立保育園や好待遇の園へ転職する
- 制度(研修や補助金)を最大限活用する
今の職場に不満があるなら、思い切って環境を変えることも大切な一歩。保育士という大切な職業だからこそ、自分自身の生活も大切にしていきましょう。
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