「納得できる転職を」ー株式会社Cum Create 代表取締役 山本 芳貴さんインタビュー

山本様プロフィール
山本 芳貴(やまもと よしき)
株式会社Cum Create 代表取締役。
異業種で営業職を経たのち、38歳で保育園運営会社に転職。
現場で保育士や園長、保育運営のリアルに触れる中で、離職やメンタル不調など、保育業界が抱える構造的課題に問題意識を抱く。
2023年に「Cum Create(クムクリエイト)」を設立。
“条件ではなく、納得できる転職を”を掲げ、現場経験者のみで構成されたチームで保育士・園双方をサポートしている。
座右の銘は「人は感情をなかったことにできない。だからこそ、自分らしく生きられる環境を。」
自己紹介


まずは自己紹介をお願いします。

もともとまったく異業種で、ずっと営業職をしていました。
保育業界に関わったのは38歳のとき、保育園の運営会社に入社したのが最初です。
実際に働いてみると、保育という仕事は社会貢献度が非常に高く、子どもに向き合う先生方の思いの強さを日々感じました。
一方で、離職率の高さやメンタル不調に悩む先生の多さにも衝撃を受けました。
「ここを何とかしたい」と思ったのが原点です。
そうした課題に対して、“より良いマッチングの形をつくりたい”という思いから、保育士に特化した紹介会社としてCum Createを立ち上げました。
今は紹介会社として保育士さんの転職支援を行っていますが、実は「紹介がなくても辞めない園を増やしたい」と考えています。
人材紹介が必要なくなる未来が理想なんです。
そのためにも、保育園の運営体制を整えるお手伝いができればと思っています。
保育園の本部勤務から独立・起業に至った経緯

保育園の本部勤務から独立・起業に至った経緯を教えてください。

最初は同僚が立ち上げた会社に一緒に参加し、そこで経験を積みました。
しかし、次第に新しい考え方が生まれて、自分自身の理念を形にしたいと思うようになったんです。
その結果、2023年にCum Createを設立し、現在3期目になります。
「Cum Create(つなぐ・つくる)」の由来

「Cum Create(つなぐ・つくる)」という社名にはどんな想いが込められていますか?

「Cum」はラテン語で“ともに”という意味があります。
日本語の「組む」にも近いニュアンスですね。
“人と人が組み、共に何かを創り出していく”──そんな想いを込めています。
求職者・園・企業、そして社会。みんなでより良い環境をつくる、その「つなぐ場所」でありたいと思っています。
「元園長がいる紹介会社」として強み


業界初“元園長がいる紹介会社”として、どんな価値を感じていますか?

現場経験者だからこそ伝えられる“リアル”があります。
たとえば園見学の際、「どこを見れば本当の園の姿が分かるか」というポイントを具体的に伝えられるんです。
職員紹介ページを見ただけで人員体制が分かることもありますし、
子どもの制作物を見ると、「大人主導の保育か・子どもの主体性を尊重しているか」も分かります。
こうした細かな視点をもとに園を紹介しているため、入職後のギャップが少なく、短期離職が非常に少ないのが特徴です。
条件マッチングではなく、「納得感」を重視するわけ

条件マッチングではなく、「納得感」を重視されているそうですね。

そうなんです。多くの方が「給与」や「休日」などの条件で園を選びます。
もちろんそれも大切ですが、実際に辞める理由は人間関係や精神的な負担がほとんどです。
だからこそ、「辞めたい理由」から探すことを大事にしています。
なぜ辞めたのかを一緒に掘り下げ、同じ失敗を繰り返さないようサポートする。
条件だけで選ばず、“納得して働ける場所”を見つけることが最も大切です。
印象に残っているエピソード


印象に残っている支援エピソードはありますか?

印象的だったのは、広島で公立保育園に勤めていた保育士さんです。
4年働いた後に心が疲れてしまい、2年間保育を離れ工場で働いていました。その後、「もう一度保育をやってみたい」とご相談いただき、関東での転職をサポートしました。
一緒に7園ほど見学しながら、ご本人の得意・不得意を整理していったんです。ピアノが苦手だったので、「無理して弾くより、歌で子どもと関わろう」と。
結果、ピアノを重視しない園に出会い、今では3年目。笑顔で働いています。“自分の得意を活かせる園”に出会えたときの笑顔は、本当に嬉しかったですね。
保育士のキャリアの可能性について

保育士のキャリアの可能性については、どうお考えですか?

「保育士だから保育園で働く」という固定観念にとらわれる必要はないと思います。
異業種を経験することで、保育の価値を再確認できることもあります。
ただ、私はやはり保育士という仕事はAIに代替できない、感情と人のぬくもりの仕事だと感じています。
せっかく保育を志した方には、形を変えてでも続けてほしい。
そして、保育の現実や待遇を正しく伝えることで、「離れてもまた戻れる業界」にしたいと思っています。
保育園・事業者へのメッセージ

保育園・事業者へのメッセージをお願いします。

採用や定着を意識するあまり、「辞めさせないこと」が目的化してしまうケースがあります。
しかし、それが行き過ぎると園長先生が注意できなくなり、
結果として不適切保育につながるリスクもある。
指導は“伝え方”の問題であって、伝えないことが正解ではありません。
必要な指導をしながらも、辞めない職員が育つ関係性をどう築くか。
そこに園づくりの本質があると思います。
今後の展望

今後の展望を教えてください。

これからは、紹介だけでなく「良い園を一緒に作る支援」に力を入れたいです。
実際、園の見学だけでは分からないことがたくさんあります。
だからこそ、より深く園に関わり、体制づくりからサポートする。
「不適切保育をなくす」「辞めない先生を増やす」──
この2つを軸に、業界全体を良くしていけるような仕組みをつくっていきたいです。
保育士さんへのメッセージ

最後に、保育士さんへのメッセージをお願いします。

転職は“人生を左右する大きな決断”です。
だからこそ、妥協ではなく納得して選ぶことを大切にしてほしい。
見学を重ねて、「あそこよりここが自分に合う」と思える場所を見つけてください。
嫌なこともあるかもしれませんが、納得して決めた場所なら、きっと乗り越えられます。
焦らず、自分の心に素直に。そんな転職をしてほしいですね。界全体を良くしていけるような仕組みをつくっていきたいです。
編集後記
山本さんの言葉の端々にある「人と人をつなぐ」という姿勢は、単なる人材紹介の枠を超えた“保育の未来づくり”そのものでした。
紹介がなくなることを理想とする会社──そこに、本気で現場を良くしたいという信念が感じられました。
子どもたちの笑顔の裏には、保育士の笑顔がある。その当たり前を支える存在が、Cum Createです。
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